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レポート・コラム

vol.87 保険代理店のための体制強化策

vol.87 保険代理店のための体制強化策

保険FPコンサルティングレポート vol.87

『業界の現状分析から業界の未来を生き抜く正しい戦略を描く』

~保険代理店・FP事務所 実践経営レポート~

船井総研 保険チーム

保険FPコンサルティングレポート vol.87

今回から4回にわたり、保険代理店の「体制整備」についてお伝えしていきたいと思います。
 
2017年に、「金融モニタリング有識者会議報告書」が公表されて以降、
保険代理店が自ら業務運営、また経営体系を確立し、改善していくことが求められるようになりました。
 
「顧客本位の業務運営に関する原則」では、
保険代理店がとるべき行動を個別的、具体的に規定する「ルールベース・アプローチ」ではなく、
顧客本位の業務運営に有用となる抽象的な原則だけを定め、
原則の趣旨・精神を実践するためにどのような行動をとるべきかについては、
金融事業者が自らの置かれた状況に応じて判断するという「プリンシプルベース・アプローチ」の手法がとられていますが、
これは代理店の「体制整備」についても同様なことが言えます。
 
つまり、これまでは業務にあたって関連する法令・条例、
もしくは保険会社の提供するマニュアルに則った運営を行ってさえすれば、
最低でも保険代理店の運営は、適切なものとしてみなされていたわけではありますが、
昨今では、代理店が「自ら」業務運営にあたっての原理原則を構築し、
体制として確立することが不可欠になったということです。
 
 保険代理店の体制整備とは、以下のPDCAプロセスを確立し、かつ可視化したうえで、遂行することです。
全社員が一様に理解している必要があります。
 

 
そもそも「体制整備」というのは、基盤を構築することを指し、上記のPlan、Doの確立であり、
基盤を構築したのちの運用であるCheck、Actionは、「態勢整備」ということを一般的に示唆します。
 
ですから、保険代理店の体制(態勢)整備は、上記のPDCAサイクルの循環と改善を永続的に行うことが求められます。
 
それでは、まずPlan(社内規則等の策定)について今回述べたいと思います。
 
保険代理店が策定すべき社内規則等の策定については、以下のようなものが挙げられます。
 
(1)法令等遵守規程
⇒保険業法、保険法、消費者契約法、金融商品の販売等に関する法律、金融商品取引法、犯罪収益移転防止法、
個人情報保護法、景品表示法や、条例、ガイドライン(保険監督指針、保険検査マニュアル、
金融分野における個人情報保護に関するガイドライン等)、自社で定めた方針など。
 
例:コンプライアンス研修、コンプライアンスマニュアルの策定、法令勉強会など
 
(2)保険募集管理規程
⇒保険募集に関する法令等の遵守を確保し、適正な保険募集を実現するために必要となる管理。
 
例:募集フロー検証会議、募集ルール(業法300条等)研修、営業フロー研修など
 
(3)顧客情報管理規程
⇒顧客情報漏洩防止の観点から、顧客情報が適切に管理されること。
 
例:個人情報保管規程の策定、情報管理ルール策定およびマニュアル策定など
 
(4)顧客サポート等管理規程
⇒顧客からの問い合わせ、相談、要望、苦情および紛争への対処が適切に処理されること。
 
例:顧客対応ケース別対応研修、顧客対応マニュアル策定、不祥事件等の処理手続きに関する取り決めなど
 
(5)外部委託管理規程
⇒保険代理店の業務が外部委託される場合における業務遂行の的確性を確保し、
 顧客情報や顧客への対応等が適切に実施されること。
 
(6)内部監査規程
⇒独立した内部監査部署が、被監査部署等における内部管理態勢の適切性・有効性を検証するプロセスのこと。
 
例:内部管理責任者および内部管理統括責任者資格の配置および資格、また内部監査部署の報告実施体制構築
 
社内規則等の策定については、所属保険会社が策定している
「コンプライアンスハンドブック」等のマニュアルを自社の社内規則等と定めることも有効で、
乗合保険会社においては、各保険会社の規程に従う、ということが一般的であると考えられます。
 
上記(1)(2)については、内容については既定の者を用いることで十分といえますが、
ここではDoにおける運用については自社内でしっかりと定めておく必要がありますので、
自社のコンプライアンス規定は、どのような内容で、募集人はどこを見れば規程が書いてあるか、
ということが全員に認識されている必要があります。
 
ですので、社員の教育の場の提供をいつ、だれが、どこで、どのように実施するかを、
経営者を主導とするトップダウン進めていくことが不可欠です。
 
(3)の個人情報管理については、代理店の状況に応じて定める必要があります。
 
保険業務において、顧客の個人情報は「お客さまの同意に基づき業務遂行上必要な範囲で利用するなど
業務の適切な運営の確保その他必要と認められる場合」に利用目的が限定されています。
 
例えば、募集人(営業員)が自身の営業活動によって収集した個人情報の管理といったものは、
代理店でのルールを定め、正確にDo以降のプロセスまで確立することが求められます。
 
具体的には、
ⅰ.契約が成立・不成立、またはキャンセルになった時点で、営業員が収集し、
  書き留めたメモなどを廃棄、もしくは塗りつぶすなどの処理をする
ⅱ.帰社する際には、営業員が営業で用いた資料、手帳などをキャビネットなどに保管する
ⅲ.持ち出しの都度、管理簿等で情報管理者による確認を行う
ⅳ.営業車内の放置を防ぐため、定期的に車両確認を行う
ⅴ.情報管理者による、抜き打ちチェックを実施することを定める

といったことを定め、実行することが必要です。
 
また、代理店においては、どのような書類が保管義務のある帳票、保管してはいけない帳票に該当するのか、
全社員が認識し、どのように管理しているかを把握しておく必要があります。
 
保管義務のある帳票類としては、
・委託、登録関係書類
・募集関連書類
・明細、領収書控え
・自賠責保険料集計表
・申込書控えなどの顧客徴求書類

といったものが挙げられ、一方で保管してはいけない帳票類に、
・告知書などの体況を記した書類など
・保険金請求書、給付金請求書など

があります。
 
センシティブ情報については、包括的に徴求してしまうケースがあるので、
うっかりないように指導・教育することが不可欠です。
 
次に(4)顧客サポート等管理規程です。
 
顧客からの苦情とは、「保険代理店の事業活動全般に起因する不満足の表明」を指し、
申出内容、経緯、原因等を正確に記録し、速やかに保険会社に連絡をして情報共有を図るともに、
再発防止策を講じることが求められます。
 
代理店に対して直接ではなく、保険会社が受け付けた苦情についても、代理店側にて記載し、
管理することが求められますので、保険会社との定期的な情報共有が必要です。
 
ですから、顧客からの苦情を受けた際に、営業員に情報がとどまらない様に、
どのようなプロセスで情報共有を図るのか、正確に定めておく必要があります。
 
また、苦情となった原因を調査・分析した結果を社内で共有し、業務プロセスや対応方法を見直します。
その際に、問題の根源が、「自社」「保険会社」「業界全体」にあるのかを見定めることが求められます。
 
続いて、(5)の顧客情報データの外部委託に関する規程です。
 
この部分に該当するケースは、
ⅰ個人データを含む書類破棄を業者に委託する
ⅱ年賀状作成のため、顧客リストを業者に渡す
ⅲお中元やお歳暮の送付のため、顧客リストを業者に渡す
ⅳ申込書類の保管のため、倉庫業者へ書類を渡す

等があげられます。そうした場合には、
・所属保険会社へ事前申請
・外務委託先の管理

が必要となります。
 
また、うかつにもPCのメンテや修理などのために、
業者になんらかの処理をせずにPCやタブレットを委託するケースも想定されてますが、
こうした際の情報管理については、保険会社との確認の上で、自社内でルールを明確にしておく必要があります。
 
最後に、(6)内部監査規程です。
これは、代理店が自らの経営、営業において適切な方法をとって業務を行う自主規制としての役割を担うことを意味します。
 
小規模な保険代理店においては、代理店のコンプライアンス統括、
つまり内部管理責任者は経営者が兼務することが想定されますが、従業員20数名以上の代理店であれば、
経営者から分離した責任者および管理者を設置する必要があります。
 
責任者の種類、役割は以下のようなものが挙げられます。
 
⑴教育責任者
・社員教育に関する計画やスケジュールの策定
・研修や勉強会の計画、実施、運営。および欠席者確認や習熟度確認      等
 
⑵業務管理責任者
・保険業務の管理統括
・コンプライアンス遵守管理
・苦情管理、顧客案件管理
・外部委託先管理                             等
 
⑶個人情報管理責任者
・個人データの安全管理に関する規程および外部委託先の選定
・情報端末のPWの管理、認証管理
・情報端末、および書類の持ち出し管理、および点検
・個人情報の管理に関する社員教育や研修の実施               等
 
⑷点検責任者
・自己点検に関する年間計画の策定
・年間計画に基づいた自己点検の実施・改善
・各拠点長への管理・点検項目の伝達、指導および振り返りの実施       等
 
⑸内部管理責任者、内部管理統括責任者
・監査に関する計画の策定
・計画に基づいた監査や点検の実施、改善、報告
・業務改善計画の実行と報告                        等
 
などが想定されます。
 
まず、計画策定の段階では、経営者がすべての管理責任者として、
上記すべての内容の把握に努め、計画を立てていく必要があります。
 
実際にどのように進めていいのか、という課題はもちろんついてまわるわけですから、
まずは自社の代申社の担当者を中心に、
保険会社とともに社内規程計画とスケジュールを立てていくことを実行していくことから、
体制整備構築はスタートします。
 
次回は、Do(適切な管理、指導、教育)についてお伝えします。
    
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 

以上

 

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