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『業界の現状分析から業界の未来を生き抜く正しい戦略を描く』
~保険代理店・FP事務所 実践経営レポート~
船井総研 保険チーム 岩邊 久幸
テンセントは、世界時価総額ランキング8位の企業です。
1998年に、ポニー・マー氏を中心に、5名の技術者で創業しました。
1997年にインターネット元年だった中国において、メッセンジャーツールからスタートした企業です。
2000年代に入り、PCだけでなく、モバイルへ進出し、そして2003年にはオンラインゲームへと進出。
今では、Wechatという中国版のLINEを始め、様々な消費者サービスへと進出しています。
また、ゲーム分野では、世界一の企業となっています。
テンセントの基本戦略は、「人間のニーズに基づいた戦略」です。
まず、プラットフォームに人を集め、そしてつなげる。
次に、人間の五感を刺激する商品・サービスを展開し、
人間の暮らしのなかのサービス全てで包み込むということです。
具体的には、人間の1日の行動を細分化し、消費者行動の徹底分析とその行動に寄り添ったサービス展開を行っています。
要は、朝起きて、顔洗って、歯を磨いて、朝食を食べて、学校へ行って、云々といった感じで、
各属性の1日の行動に合わせて、その行動に合わせたサービスを開発しにいっているということです。
彼らは、24時間100%接点を持つことを目標としています。
寝ている時間もどうにかこうにかテンセントが提供するサービスに接してもらおうということです。
例えば、公共サービスの支払いをできるようにしたり、日々の買い物や、電車・バス等の交通や教育、旅行等、
日々の生活においてあらゆる場面でテンセントのサービスを利用できるようにしていくということです。
彼らは、まずはユーザーの時間の奪い合いだと言います。
ユーザーの時間を占有することができれば、初めてお金をいただきやすくなり、
ロイヤルティ、つまり自社サービスへの依存度を上げることができると言います。
これらのサービスを開発する際に、イノベーションポリシーというものがあります。
それは、
・ユーザー体験を何よりも重視する
・権限を委譲して、革新を起こす
・文化に基づく組織マネジメント
・個人の成果を重んじる
・小さな成功と失敗の繰り返しで前進する
というものです。
これらを体現するためにも、人材育成の仕組が面白いものがあります。
まず、社内採用システムです。
具体的には、社員のジョブチェンジが自由だということです。
自身が身につけたい技術を変えたいとき、上司と合わないとき等、ジョブチェンジを自由に申請することができます。
その際、上司は止めない決まりになっているとのことです。
結果的に、テンセントという企業からの逸材の社外流出を防ぐ役割になっているとのことです。
そして、出戻りはいつでもOKな文化とのこと。
もし仮に、社外に出て行っても、新しい技術を身につけ、パワーアップして戻ってきてくれたら、会社としては戦力アップにつながります。
そして、日本ではあまりなじみがなく、とても中国らしいというか、海外らしい制度があります。
それは、「下剋上制度」というものです。
部下である人間が、上司に対し、下剋上を申請し、プレゼンバトルが開催されます。
もしこのプレゼンバトルで部下が勝つと、上司と部下の関係が逆転するというものです。
2018年は、200人の下剋上が成立したとのことです。
ポジションに安住するのではなく、どんなポジションであれ、常に能力向上し、結果を出し続けななさい!という会社からのメッセージです。
最後に、テンセントにおいて、感動したことがあります。
ポニー・マー氏始め、5名で創業した場所へお伺いさせていただく機会に恵まれました。
深圳市内の開発が進んでいない、古い電気街の一角にある雑居ビルの4Fの1室でテンセントは生まれました。
そこに何があったのか。
ポニー・マー氏が当時働いていたデスク・椅子・PC・ポケベル・ガラケー・灰皿等々が全てきれいに保存されていたのです。
当時の書類もそうですし、灰皿にいたっては、吸い殻も残っていました。
ポニー・マー氏が一生この場所は保存し続けるように命じているようです。
今となっては、世界で8位の企業になっているわけですが、
創業当時のことを社員には絶対に忘れさせないように、そして原点回帰の場所として保存しています。
当然、創業当時のことを知らない社員も多いので、社員教育に使われています。
資金繰りが悪く、苦しかった当時のFAX等も残っています。
彼らは、特に企業理念、社内文化の浸透に力を入れています。
いかがでしょうか?
大企業ほど、実はとてもベーシックなことを、コツコツと行動に移し、カタチにしていっていることに気づきます。
それでは、来週は中国平安保険のご紹介です。
今となっては、世界一の保険会社です。
お楽しみにされてください。
また来週も楽しみにされてください。
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました!
以上
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