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『業界の現状分析から業界の未来を生き抜く正しい戦略を描く』
~保険代理店・FP事務所 実践経営レポート~
船井総研 保険チーム
今回は、企業のリスクマネジメントについてお伝えしたいと思います。
企業の役員が不祥事などで訴えられるリスクに備える会社役員賠償責任保険、
いわゆる(D&O保険)の加入が急拡大しています。
大手の損害保険4社では2018年度に契約件数が初めて1万件を超え、
保険料収入は150億円程度となり、これは過去最高の水準となっています。
とりわけ、企業の在り方として、近年コーポレートガバナンス(企業統治)の強化や、
訴訟手数料の引き下げで株主代表訴訟が活発になったことが背景としてあると考えられます。
従来、訴訟大国である米国では、法人としてリスクオフにおいて賠償責任保険は一般的なものですが、
日本においても事業のボーダーレス化、グローバル化に伴い、
従来のガバナンスの方法を見直す余地が増えてきており、それは中小企業も同様にいえます。
一般的に、賠償請求ではその金額が100億円超に上るケースもあり、
数年前には、日経製薬メーカーが米国より数千億円の賠償責任を求めた訴訟も発生しています。
これは大企業ゆえに金額も甚大ですが、
中小企業の役員にとっても対岸の火事ではありません。
日本経済新聞 2019年1月17日
賠償責任保険については、従来、従業員のケガや事故、業務上における過失に対して備えることは一般的ですが、
先述したように、ガバナンスの強化においては
とりわけ対外的な不祥事に備えた動きを活発化させていることがうかがえます。
とりわけ株主に対しての統治強化が必要不可欠といえるでしょう。
最近では、詐欺事件の被害に遭った積水ハウスに加え、
日産自動車でも株主代表訴訟に至る可能性があり、
企業としてのリスクマネジメントと看過できないものになっています。
最近では、セクハラやパワハラ、過重労働など労働紛争で
担当役員らが訴えられるケースも増えているといいます。
各損保各社はこうした事案にも補償範囲を拡大しています。
企業を取り巻くリスクが多様になるなか、
役員へのリスクマネジメントとしてのコンサルティングの可能性は多いにあるのではないかと思います。
また、会社役員賠償責任保険においては、税務上の扱い方が変わっていることもあり、
一定の手続により会社法上適法に会社が保険料を負担する場合には、
役員個人に対する給与課税の対象とする必要はないとされています。
こうした税務へのアドバイスを含めた保険コンサルティングをしていけるかどうかは、
法人向けビジネスを展開している保険代理店にとって
差別化の大きい戦略になるものではないか、と考えます。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
以上
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