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『業界の現状分析から業界の未来を生き抜く正しい戦略を描く』
~保険代理店・FP事務所 実践経営レポート~
船井総研 保険チーム
先日、2018年のノーベル医学生理学賞に京都大学の本庶佑名誉教授の
「免疫チェックポイント阻害因子の発見とがん治療への応用」が選ばれました。
本庶氏の研究は、1992年に「PD−1」という、
活性化T細胞の表面に発現するタンパク質を発見しました。
通常、がん細胞はT細胞など免疫の力によって取り除かれています。
しかし、がん細胞のなかには、免疫から逃れる方法を獲得しながら増殖を繰り返すものがあり、
これらが一定以上の塊にまで増殖することで「がん」となります。
がん細胞は、このタンパク質を通じて、がん細胞を攻撃するT細胞の活性を低下させるのですが、
免疫チェックポイント阻害薬はこの部分を阻害することで、T細胞の働きが抑えられ
正常細胞を攻撃することを抑止することで、免疫力が低下するのを防ぐ役割を果たしました。
2014年、これら研究をもとに小野薬品との共同研究により、
免疫チェックポイント阻害薬のオブジーボ(一般名ニボルマブ)が開発されました。
こうした、本来の免疫細胞の働きに着目したがん治療の「免疫療法」は
ここ数年でのがん治療として非常に名が挙げられるようになってきました。
今回、同時受賞したジェームズ・アリソン氏はCTLA-4というタンパク質を発見し、
オプジーボと同様に現在幅広い治験が行われている
免疫チェックポイント阻害薬・イピリムバブ(商品名ヤーボイ)の開発に貢献し、
また現在では、ベムプロリズマプ(商品名キルトイーダ)、アテゾリズマブ(商品名テセントリク)など、
さまざまな免疫チェックポイント阻害薬の開発が進んでいます。
本来、がんの治療には、外科的治療、投薬治療や放射線治療などが一般的とされており、
これら「免疫療法」は、がんの治療においては、亜流とされており、
保険適用になっていない側面からもまだまだ一般的になったとはいいがたいものがあります。
現在、オプジーボの保険適用がんは、メラノーマなどの悪性黒色腫、
肺がん(非小細胞、二次治療からのみ使用可能)、舌がん、咽頭がん、胃がんなどに限られます。
また副作用の報告も多くなされており、なにより治療費の高額さについては
オブジーボの特徴としてもよく耳にするのではないでしょうか。
オブジーボの薬価費用は、100mg72万円から2018年11月には
同量で17万円と4割ほど下がったわけでもありますが、
保険適用外の治療に使用するとなると年間で500万円ほどの自己負担が発生してしまい、
先進医療認定もないことから医療保険の特約が利用できないというのが実情です。
しかし、つい4年前まで、小野薬品がオブジーボを世に出すまでは、
ほとんど人口に膾炙していなかったこの免疫療法も、
この数年でメジャーなものになってきていることから、
がん治療は日進月歩していることは言うまでもないでしょう。
また、免疫チェックポイント阻害療法に続く、がん治療として、「CAR-T細胞療法」も話題になっています。
1回の投薬に約5,000万円の費用がかかる治療法として話題になりましたが、CAR-T細胞療法は、
患者から採取したT細胞に遺伝子改変を加え、がん細胞表面の抗原を特異的に認識する
キメラ抗原受容体(CAR)を発現させた上で、再び患者の体内に戻す治療法です。
現在、ノバルティスファーマの「キムリア」がこの代表薬として開発が進んでおり、欧州で8月に承認をとりました。
国内外各製薬メーカーもこぞってこのCAR-T療法の開発を進めており、
第一三共とギリアドサイエンジズ、大塚製薬とタカラバイオの共同開発は臨床段階というフェーズに進んでいます。
厚生労働省も、こうした高額ながん治療薬の承認については、日々改定を急いでいるということもあり、
今後もこうした最先端のがん治療の動向からは目が離せないでしょう。
https://toyokeizai.net/articles/-/241925
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
以上
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