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『業界の現状分析から業界の未来を生き抜く正しい戦略を描く』
~保険代理店・FP事務所 実践経営レポート~
船井総研 保険チーム 岩邊久幸
前回は日本における大きなトピックについてお話いたしました。
今回は金融業界についてお話いたします。
金融業界において、2018年に起こることは下記の通りです。
◆1月
・つみたてNISA開始。年40万円までの投資にともなう利益が20年間非課税に。
・東証が「相談役・顧問」の開示制度を創設。氏名や業務内容、報酬の有無などの開示促進。
・自動車の任意保険料が3%前後引き下げ。
・SMBC日興証券とSMBCフレンド証券が合併。
◆3月
・日銀両副総裁の任期切れ。
◆4月
・三菱東京UFJ銀行が三菱UFJ銀行に行名変更。
・関西アーバン、みなと、近畿大阪の3行が「関西みらいFG」のもとで統合。
・標準生命表が11年ぶりに改訂。死亡保険料引き下げへ。
・三重、第三の2行が統合し「三十三FG」に。
・日銀黒田総裁が任期切れ。
・三菱UFJ信託銀行の法人融資業務を三菱UFJ銀行へ移管。
◆5月
・東京都民、八千代、新銀行東京が合併し、「きらぼし銀行」に。
・国債取引の決済期日を売買の2日後から翌日に短縮。
◆7月
・金融庁の組織改編。「企画市場」「監督」「総合政策」の新3局体制に。
◆10月
・銀行間の振込の即時決済が24時間・365日可能に。
・第四、北越の2行が統合し「第四北越FG」を設立。
これらのことから、こんなことが予測されます。
◆個人投資がより活発に
→日経平均のさらなる上昇とつみたてNISA開始により、個人投資がさらに活発に
→ネット証券の口座獲得競争・手数料値下げ
◆高額資産保持者向け資産運用がより活発に
→格差が向こう3年でより拡大傾向に
→相談役・顧問の所得開示により、ターゲットが明確に
→より競争激化の方向へ
◆保険会社(メーカー)は直営・直販を強化
→スマホアプリによるエンドユーザーの囲い込み
→ネット販売可能な保険商品(少額短期)の開発の活発化
→金融庁方針による報酬上乗せの減額によってできたお金はいずこへ!?
◆超プロ個人資産運用・管理事業者がさらに伸びる時代へ
→高額資産保持者(経営者・経営者OB等々)の気持ちが分かる超プロ(個人)が活躍
→“なんちゃって資産運用コンサル”もたくさん出現
→保険や他金融商品だけでなく、M&Aまで資産運用ソリューションを品揃えしないと、生き残りはむずかしい!?
◆集客力の強い業態開発ができる企業がさらに伸ばす時代へ
→プッシュ型(飛込み等々)の手法中心の企業の収益性が悪化
→個人投資が活発化することで、客がより賢くなる
→結果的に、旧態依然の業態や中途半端な業態展開企業から客は離れ始める
あくまでも予測ですが、こんな時代になりそうです。
こういったことを想定して、いかに自社の業績・収益性を上げるか・・
といったことを考えないといけないわけですが、ポイントは、2点あります。
一つ目は、より社会性を意識したビジョナリーな方針のもと、事業開発・展開を行っていくことです。
今は手数料開示時代であり、モノ余りの時代に入り、
消費者はより自分のために提案をしてくれる企業を選択する時代です。
そして、消費者の欲求は、今ある現状の不平・不満を取り除く方向へと移行していっています。
保険に入っているのは、当たり前であり、
いかに今までよりも少額でしかも保障の高い商品を品揃え・提案できるか、
いかに専門性の高い提案をすることができるか、
といったことが大事なポイントになってきます。
たくさん売ったから、報酬が手に入る時代ではなく、お客様から支持されたから、報酬が手に入る時代です。
より商売の原理原則に近づいていくわけです。
そのためにも、報酬が先に来るのではなく、お客様のニーズを真っ先に考え、
事業開発・展開を行っていただきたく思います。
二つ目は、常に、NO1を意識していただきたいということです。
日本で一番高い山は富士山と答えられる方が多いのに対し、
二番目に高い山は?と聞かれて、答えられない人が多いというのは有名な話です。
これは、今の時代に限った話ではなく、どの時代においても、普遍の原則です。
既存の大手・中堅の方向性はしっかりと押さえておく必要がありますが、
彼らと同じことを実施していくことが、果たして、勝つために、No1になるために、必要なことなのでしょうか?
答えはNoです。
強者には強者のやり方があり、弱者には弱者の戦い方があります。
技術者、経営者、そして学者としても名高いランチェスター博士が、
1914年に今ではランチェスターの法則として名高い「集中の法則」というレポートで提唱されていますし、
戦時中のアメリカ軍だけでなく、フォルクスワーゲン等の企業経営に活かされていることは周知の事実です。
大手・中堅の方向性を知っておくことは、必ずしも同じ方向へ迎合することではなく、
彼らがやりたがらない、彼らが苦手なことを知り、
そして彼らが展開することで消費者が不平・不満に感じる部分を事業化することが目的です。
そうすることで、規模では一番になれなくても、“その”分野では一番になれる可能性は高まります。
・・・次号に続く。
次号は、pert3「2018年時流予測キーワードのまとめ」です。
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