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『業界の現状分析から業界の未来を生き抜く正しい戦略を描く』
~保険代理店・FP事務所 実践経営レポート~
船井総研 保険チーム
本日は、W代理店にご訪問。
こちらの代理店さんの特徴は何と言っても従業員満足度一番主義。
なんと週休3日制。
それでも営業一人あたり生産性は1500万円とかなり高水準。
従業員満足度一番主義経営の秘訣とは何なのか。
まず最も社長が念押しされていたのは、行動指針だ。
具体的な明文は自粛するが、内容はこちらである。
「従業員→従業員の家族→取引先→取引先の家族」
こちらが事務所内に大きく掲載されている。
行動の判断軸として順序を上記に徹底されているそうだ。
上記を見てもわかるように、社長は従業員を最も大切にしようと考えているし、
従業員も自身以外の従業員の幸せを一番に考えて行動することを承知している。
社長は独立を決意されて、自分が従業員を雇用するとなったとき、
初めて会社としての経営理念や行動指針を考えるようになった。
そのなかで一番始めにこう思ったそうだ。
「自分の会社に入社してくれる、いつも一緒に働いてくれる従業員。
まずは普段自分の最も近くにいる人を幸せにしよう。」
自分の近くにいる従業員を幸せにできないのに、お客様を幸せにできるわけがないし、
従業員が幸せでないのに従業員がお客様を幸せにできるようになるとは思えなかったそうだ。
また、社長は企業として組織の拡大を望んではいない。
社長が考えていることは「いまいる従業員の幸せ」なのだ。
ただ組織を拡大しなければ代理店としての存続が危ぶまれるし、
それは従業員の未来に関わることである。
ここで大事なのが、発想が従業員ファーストであることだ。
多くの経営者は「組織の拡大」そのものが動機であり目的になってしまう。
しかし、それでは残念ながら従業員はついてこない。
なぜなら、組織の拡大は従業員にとっては自分たちの望みと同じ方向を向いているとは思えないからだ。
人間は本質的に変化を嫌う動物だから、それは当たり前のことである。
ただ重要なのが、それが従業員のためであるということが従業員に伝わるかどうかだ。
こちらの代理店の社長は、従業員の幸せを考えた結果、組織拡大の必要性を感じているのである。
だから従業員に伝わる。
業界はこうで、時代はこういう風に流れていて、
10年先おなじように働けるかはわからない、
だから僕らも変わらないといけない。
あくまで経営者は、組織として経営という役割を担っているだけで、立ち位置は従業員と同じ。
みんなでいっしょにこの幸せな空間を維持していこう。
社長はこういった発想を非常に大切にしている。
なるほど会社組織を一つのチームとして例えたら、
あくまで経営者は経営というポジションを担っているだけなのである。
それはチームの存続のために必要な「役割」であって、
その役割を担っているからといって「えらい」わけではない。
人口減少により人不足が騒がれる昨今、
代理店業界では従業員の幸せにここまでとことん向き合っている経営者もいるのだ。
そしてそれが心からの思いであり、従業員を従業員として捉えるのか、
従業員を「なかま」として人生を共にしている人として捉えるかの違いであると感じた。
マネジメント領域の採用・育成・定着は今後ますます重要になってくる。
「何のために働くのか」その指針として従業員が最も理解しやすいものが、
自分たちの安定・幸せである。
どんな企業のどんな従業員にも決まりきった考えがあてはまるわけではないが、
同じような考えを持つ人が企業としての考えに共感すると、チカラ強い組織ができる。
従業員満足度一番主義はその一つの答えにすぎない。
企業として何を目指すのか、どうありたいのか、経営者の「思い」が最も大切であり、
その「思い」に組織が共鳴している保険代理店の例として、ぜひ参考にしていただきたいと思う。
以上